「企業理念に共感しました」がエンジニアの志望動機にならない理由

理念への共感だけなら誰でもできるという話

就職活動や転職活動をしていると、会社の志望動機を考える機会も多いと思います。(本来は考えるという言い方はおかしいのですが)

その志望動機の一つとして「御社の〇〇という企業理念(ビジョン)に共感したからです」と面接で答える方も多いのではないでしょうか。

「志望動機の一つは御社の〇〇という企業理念(ビジョンやミッション)に共感したからです」と語るのはとても簡単です。どの会社にも通用しますし、それなりの説得力を持っているように見えます。

IT企業のホームページを見ても

「エンジニアであっても営業であっても理念に共感してくれる方と働きたい」

と書かれていることが非常に多いですね。

どの会社にも通用する部分であるがゆえに、それに関しては面接で徹底的に深掘りされます。しっかり自分の意見をまとめていないと明確に回答することは難しいでしょう。

そもそも自分が大切にしていることと、他の誰かが大切にしていることが100%完全に一致することはまずありません。逆に100%一致していると思えばそれは絶対に入るべき企業と言えるかもしれません。

心の中で共感していると思っても、それは自分の考えとの部分的な一致にすぎません。

それゆえに「共感しています」と強く言い切るのは相手に対して不信感すら与えてしまうことがあります。「自分の考えがコロコロ変わる軸のない人間だ」という印象を与えかねません。

友達に愚痴を言って「あーそれわかるー」と生返事で言われても、本当に共感されたかは結構怪しいですよね。それと同じです。

そういう背景があるので、100%まるっきり自分の目指したいことと同じ、というレアなケースを除いて、

「企業理念やビジョンに共感したから」

というのをそのまま就職活動の志望動機に持ってくるのはあまりオススメしません。

共感ではなく部分的な一致を語ろう

ではどうすれば良いのかというと、自分が大切にしていることと、企業が大切にしている理念(ビジョン、ミッション、カルチャー)との一致を語るのです。

自分はこういう考えを持っていて、御社の理念とこういう部分で一致しています、という風に語れば印象も良くなります。いくら深掘りをされても、自分の考えを述べればいいだけなので、スラスラと答えられますし面接の対策も容易になります。

カルチャーフィットや共感を重視する企業であるほど、口先だけの共感を嫌います。それなら自分が大切にしていること、やり遂げたいことを述べた方が生き生きと話せます。

「御社の〇〇という企業理念はとにかく素晴らしいと思いました。とても共感します。」

「自分の将来の目標は技術を生かして〇〇な社会を作り上げることです。これは御社の目指す△△というところで一致しており、御社での業務を通して自分の夢を成し遂げられることに魅力を感じました。」

という2人の学生がいたら、後者の方が軸を持っていて、理念をきっちりと理解して共感しているように見えるのではないでしょうか。

自分が本当に思っている夢や目標を語るときは誰しも熱意や気持ちが入るため、企業側にとっては生き生きとした印象が与えられるというメリットもあります。

転職が当たり前の業界で会社は何を考えるのか

Web業界が抱える課題

Web業界は他の業界を比べて転職が当たり前のように行われ、終身雇用という概念がそもそも存在しません。

エンジニアが社内で身につけた技術は高い確率で他社でも使えるため、実力のあるエンジニアが一つの会社に縛られることはありません。

一つの会社に10年いると「10年もいてしまった」とうい表現をされる方が結構いるのが現状です。

  • 一つの会社で触れられる技術の幅には限界がある
  • 転職や独立をした方が簡単に給料をあげられる
  • 新しい物好きのエンジニアは一つの会社にいると飽きる

というのが多くのWebエンジニアが感じていることです。

つまり大部分のエンジニアからすれば、自身のキャリアとお金だけを考えると、5年ごとくらいに転職をしてしまうのが、最適解となってしまいます。

未経験から入社したエンジニアは最初の会社を1年で辞めたほうがいい、という記事が多くの賛同を集めているほどです。

しかし、こうしたエンジニアの利害は、確実に企業側の利害とは一致しません。

IT企業にとっては、一度採用したエンジニアが長く会社に残り、会社内の幅広いサービスへの知見を深めていってくれた方がありがたいのは言うまでもありません。

エンジニアが同じ会社にいる限りは、あるタイミングで給料をドカンと上げる必要もなく、その年の評価に応じて少し給与をあげれば済むので、人件費も採用コストも安上がりになります。

エンジニアと企業側の利害は、少なくとも転職や離職に関することだけで言えば相反することになります。

これは日本の会社がお金を出さないという訳ではなく、シリコンバレーでも見られる現象です。待遇を改善すれば解決するという問題でもありません。

エンジニアと企業の利害を抑える最適な方法

その利害の相反を解決するために、採用するIT企業側ももちろん対策を練っています。

  • 給料や待遇を大幅に上げることで離職を防ぐ
  • 企業内で配置転換を行い、様々な技術をエンジニアに触れてもらう
  • 評価制度を充実させて、エンジニアの待遇をましにする
  • 最新の技術を採用することでエンジニアを引き止める
  • 他社では通用しない技術を使い、転職したくてもできない状況を作る
  • 1on1面談の実施をして、エンジニアの不満を引き出す
  • 企業理念や風土にマッチした人材を採ることで離職を防ぐ

というのが、今まで自分が見てきた代表的な例です。

様々な手法はありますが、待遇を改善したり、使用技術を入れかえたり、新しい制度を導入するには時間と手間がかかります。

この中で最もコストが低くて手軽に行える手法は、最後に述べた「企業理念や風土にマッチした人材を採ることで離職を防ぐ」ではないでしょうか。

Web業界を含めてあらゆる業界において「弊社の理念に共感し、カルチャーにマッチした人が欲しい」と企業がしつこくいう理由には、なるべく待遇を抑えて離職率を減らしたいという意図が隠されています。

表向きは

「会社の存在意義はビジョンの達成にあるので、そのビジョンに共感してくれる人でないと一緒に働くのは難しい」

という姿勢を企業側は貫きます。しかし他方では

「エンジニアは待遇を理由にすぐに辞めるから、待遇が低くても残ってくれる都合のいい人材が欲しい」

というのが本音も隠れています。普通のIT企業であれば上記の2つの考えの両方を持っています。

まとめ 企業理念の重要性を自覚しよう

まとめると「企業理念の理解はとても大事だが、ただ共感するだけではダメ」ということです。

エンジニアの中には技術への関心が深く、ビジネス的な視点や目標が浮かばないという方も多くいます。

そういう方は、なんとかして将来成し遂げたいことや、社会に与えたいインパクトを徹底的に深掘りし、企業理念との共通点を探していくというのが、就職活動における最適な戦略です。

志望動機以外でも、面接でいうと案外印象の悪いこともあるので、関連記事も合わせてどうぞ。

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