経済学的に考えるエンジニアが給料を上げるための戦略

エンジニアの給料を経済学的な視点から見るシリーズの第二弾です。

前回は、日本のエンジニアの給料が上がらない原因の仮説を15個述べてきました。

今回はWebエンジニアに対象を絞り、給料が上がらない要因をいかにして排除し、給料を上げていくための戦略を考えていきます。

まだ前回の記事を読んでいない方はこちらからご覧ください。

ゲーム会社のエンジニアの給料が上がらない原因は経済学を学べばわかるよ

モダンな開発をするIT企業でも給料が低いのはなぜ

最近のWeb系の企業ではエンジニア不足もあり、エンジニアの給与は高騰しています。この状況をバブルという人もいます。

そのようなモダンな開発をするWeb系企業でも、相場が低い企業はまだまだ多く、特に転職をせずに1社に勤める限りはなかなか給料が上がらないのが一般的です。

前回の記事では、日本のエンジニアの給与が上がらない理由、として15の仮説を述べました。

その多くの理由の中で、Web業界に当てはまるのは以下の6つであると考えます。

  • 大きく成功した企業が少ないから説
  • そもそも初任給が低いから説
  • 生活費保証仮説(育成コストを考慮)
  • 保証賃金仮説(やりがい搾取)
  • オークションの原理
  • 評価制度をあまり極端に使えない説

この6つの問題が解決されれば、技術力のあるWebエンジニアが薄給で雇われる状況は大きく減るのではないかと考えます。

GAFAほどに成功して圧倒的なプラットフォームを作ったWeb系企業は日本にはまだありません。

とはいえ最近多くのWeb系企業でエンジニアの給与水準が上がった原因には、メルカリのように新たなプラットフォームの構築に成功してエンジニアを高給で引き抜くケースが増えたことが挙げられます。

大学生の中でもインターンで専門性を身につけ、Webエンジニア一択で就活をする学生も増えてきており、他の業界と初任給を合わせる理由が減っています。

近年では初任給で年俸500万円以上出すIT企業も増え、「初任給が低いから上がっても給料は相対的に低いまま」という要因が弱くなってきています。

育成コストについては、今後エンジニアの転職がより一般的になり、「育ててもすぐ辞めてしまう」という認識が広がって解決すると考えます。

企業側も未経験の新卒を安い給料で採るインセンティブが薄れ、わざわざ育成コストをかけるよりは、中途採用を高給で引き抜いたほうがいいということになるでしょう。

そうなると低賃金では無くなる代わりに、未経験エンジニアが採用されないという別の問題が発生します。

では逆に、残りの後半3つの要因についてはどうでしょうか。こればっかりは解決しないのではと考えます。

エンジニアであれば技術が好きなのは当然なので、多かれ少なかれやりがい搾取の要素は残るでしょう。

転職をすれば、どこかの企業が希少性を評価してくれて年俸が上がるというのも、シリコンバレーでは日常茶飯事であり、市場価値に合わせて給与を上げていったら、大抵のIT企業は破産してしまいます。

企業としてはエンジニアの評価がしにくい場合は、とりあえずあまり大きく差をつけすぎない方が不満を抑えられて、楽なのが本音です。

貢献した割には評価されず、転職をするくらいの方が、雇用の流動性が上がっていいのかもしれません。

高給のエンジニアと薄給のエンジニアの分岐点

以上のことを踏まえた上で、エンジニアが高い給料をもらうためにはどのような戦略が有効でしょうか。

答えは簡単で給料が上がらない全ての原因を排除すれば良いのです。

 

なるべく若いうち、できれば大学生のうちに開発インターンで実務経験を積み、東京に引っ越す。時間に余裕があれば英会話の練習もしておく。

社会人の場合は、会社を一旦辞めて勉強時間を確保し、プログラミングスクールに通って、良質なポートフォリオを作成。

多重下請け構造を避け、初任給を上げた上で、モダンな開発のできるIT企業にエンジニアとして就職する。そこでオフショア開発で代替されないレベルの技術を身につける。

いつか評価制度に不満を持つようになるので、適当なタイミングで自分をオークションにかけて転職をする。

ビジネス的な視点を持った開発を心がけ、そのうちリーダーに抜擢されてマネジメント経験を積む。

もっと給料を上げたいと思えば、解雇規制の適用されないフリーランスエンジニアになるか、儲かっているメガベンチャーor外資に転職する。

常に自分の市場価値を意識しておき、必要に応じて給与の交渉をする。嫌なら現場を移るの繰り返し。(あまり転職回数が多いと企業から敬遠されることが多いので、その場合はあらかじめフリーランスになる。)

そのうちどこかのベンチャーのCTOとなり、IT業界で名前が知れ渡って、技術コンサルで効率よくお金を稼ぐ。

あとは当然、日々懸命に仕事をこなし、プライベートでもある程度モダンな技術を追いかけ、節税もしっかり行えば低賃金のまま終わるということはまずありません。

 

ではエンジニアとして低賃金から抜け出せない典型的なパターンはどういうものでしょうか。

 

地方の大学に入り、大学時代に遊びまくり、専門性や英語力がないまま就活をするもうまくいかず。(最近は生活が苦しくバイト漬けというパターンも多い)

「未経験でも弊社の育成でエンジニアになれます」という謳い文句に誘われて地方の下請けのSESに入社。

数ヶ月の研修を経て、他社のレガシーな現場に配属され、独自フレームワークしか触れないまま数年間を過ごす。(もっとひどいケースは開発すらさせてもらえない)

初任給は低く、エンジニアの給料はコスト扱いで、ほぼ据え置きのまま低賃金に苦しむ。

残業まみれのため、帰宅後に勉強する気も起きず、モダンなスキルに触れることはほとんどない。

そのうちに、このまま会社にいてはヤバいと思い始めるも、アピールできる技術もなく、自分が使っていた技術は他社では役に立たないと知る。

上京を試みるも、家族がいて、親にもあれこれ言われるので断念。地方ではろくな求人も無い。

未経験枠での採用を試みるも大したポートフォリオも作れず、アラサーということもあり、転職ができず会社にしがみつく。

選択肢がないため、給与の交渉もできず、今日もまた炎上案件にぶち込まれてサービス残業する典型的薄給エンジニアとなるのであった。

 

文面だけ見ると単なる情弱じゃんという感じですが、日本のエンジニアの半分弱はこれに似たパターンで薄給に苦しみます。

エンジニアの分岐点はファーストキャリアにあり

2人の分岐点はどこだったのでしょうか。やはり大きいのはファーストキャリアの選択です。

何の戦略も持っていなくても、とりあえずファーストキャリアで優秀な人に囲まれれば、周りの戦略を真似するだけで、そこそこの金が貰えます。

会社でモダンな開発ができれば、気づいたら市場価値が上がっていたということになります。

これが逆パターンだと悲惨になることは言うまでもないでしょう。

ファーストキャリアの選択は情報量がとても少ない中で行うので、確率的に最も失敗しやすいポイントです。

だからこそ、正しい情報を行き渡らせて、日本のエンジニアの地位を少しでも上げるためにこのメディアを作っているわけです。

エンジニアの給与は技術力だけで決まるものではありません。しっかりとした戦略を若いうちから考える必要があります。

経済学を学べばお金の回り方が様々な角度から見られるので、面白いですよ。

世間の認識に比べると理詰めで考える学問なので、理系の方も一冊入門書を読むと面白いと思います。

以上、色々と偏見はあるとは思いますが、経済学部出身エンジニアの考えるキャリア論でした。

 

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